ネパール語で「ヌン」といえば塩。
スパイス類と同じくらい毎日結構な量を使用する調味料の一つです。
先日店先でみかけたこれ。
岩塩の結晶を固めたもの。
口に含むとじゃりっとした食感と少しの苦みに旨さが加わってついもう一粒。
日本でも岩塩は食材の旨味を引き出すとして様々なものが売られていますよね。
でもこちらネパールではあまり奨励されていません。
その代わりに多く出回っているのが「ヨウ素添加塩」。
1キロのパッケージでどこでも手に入るもの。
バザールから何時間も歩いた村の唯一の小さなお店にもあるので、その普及率はかなりのもの。
国際機関の支援が関わったのでしょう。
さて、なぜ「ヨウ素」を人工的に付加する必要があるのか。
「ヨウ素」はほとんどが海産物に含まれています。
海に囲まれた日本は海藻類が簡単に手に入りますし、海に面していない地域でも乾物として出回っています。
ところがネパールは海に面していなく山々のそびえたつ国。
必然的にヨウ素が不足する傾向にあります。
そのための「ヨウ素添加塩」。
不足すると子どもの成長や甲状腺機能に影響を及ぼしてしまうのでこのようなパッケージが販売されているのです。
これはネパールだけでなヨウ素の不足しやすい地域にある他の国でもそう。
問題は使用するタイミング。
ヨウ素は長く熱することでその効果を失ってしまいます。
そのため入れるのは、ほぼ調理が終わってから。
けれど、私がこの一年で関わってきた女性たちの多くは最初もしくは中間のタイミングで入れるようです。
最後に入れることで効果がある、と伝えると
「最後に入れても美味しくないじゃない」
と何度か言われたことがあります。
ごもっとも。
塩は野菜の旨味を引き出すので最初に入れることも大事。
なので最初に入れるのは少しにして、味付けとして最後に入れてみて、というのが最善の言い方なのかな、とも思っています。
また、空気に触れることで効果も失われてしまうそうで・・・。
ネパールの調味料入れは、フタを開けたまま台所に置かれているのを良く見かけます。
そう、こんな風に。
果たしてどれだけの効果を発揮しているのか、ヨウ素添加塩。
地道に、自分が接する人から伝えていく必要性を改めて感じています。